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2017.01.08
トルマリンという宝石vol.3 パライバトルマリン
パライバトルマリン、いまやカラーストーンの中でも最も高価ではないかと思われる宝石の一つでしょう。
ご存知の方も多いかと思いますが1989年のツーソンショーで、開催期間中のわずか数日の間に価格が数十倍に跳ね上がった伝説の宝石です。
ネオン感という概念、宝石に今までなかったこの特徴を持った宝石の登場は
世界中にセンセーショナルを巻き起こしました。
その後もネオンスピネルやパロットクリソベリルなどネオン感のある宝石に人気が出てきたのもこのパライバトルマリンの影響が大きいでしょう。
遠目にもわかる圧倒的なまでの存在感と美しさは現在の色石の王様と言っても過言ではないのかもしれません。
ブラジル・バタリャ産 加熱パライバの上級品(グリーンブルー)
産地としてはブラジルのパライバトルマリン以外に現在ではモザンビークやナイジェリアでも
パライバタイプと呼べる含銅トルマリンが産出します。
パライバトルマリンは銅(Cuo)とマンガン(Mn)を含有することによってブルーからグリーンのカラーとネオン感を生み出します。
銅の数値が高ければ高いほどネオン感が強い傾向にあり、特にブラジル産にその傾向が強いです。
また銅とマンガンの比率によっても色相が変わります。
銅の値が高ければブルー系に、マンガンの値が高ければグリーン系になります。
産出する地域によっても端成分の入り方が異なりますのである程度の鉱山の特定も可能です。
ブラジル・バタリャ産 加熱パライバの最上級品(ブルー)
ラ・レジョンではブラジルのバタリャと呼ばれる初期のパライバを産出した代表的な鉱山のものをメインに扱っております。
特に最初期に産出したいわゆる非加熱のパライバトルマリンは独特の濃い色調と
オールドネオンと呼ばれる深いネオン感を持つのが特徴で、
このタイプはその希少性と美しさから現地ではエイトリータとも呼ばれています。
エイトール・バルボサという鉱夫が発見したことから彼に敬意を込めて
当初発見されたこのタイプの宝石をそう呼んでいるとのことです。
ブラジル・バタリャ産 加熱パライバの上級品(ブルーグリーン)
かつてパライバ研究会なるものを仲間と作っていたこともあり、ある程度の加熱非加熱の有無と産地の判断もできます。
ほんのり企業秘密ですが(笑)マンガンの数値と色相の違い端成分の入り方、
内包物の特徴が産地によってかなり異なるのもパライバの面白いところです。
悲しいことにジェムクラスの一級品ともなればダイヤモンドとは比較にならないくらい
ハイプライスになるところがネックですね・・・
ブラジル・バタリャ産 非加熱パライバトルマリン(エイトリータ)
ブラジル・バタリャ産 非加熱パーティーカラードパライバトルマリン(パープル・ブルー・グリーン)
またごく稀にバタリャ鉱山では写真のようなパーティーカラードのパライバトルマリンも出現しますが、
こちらも非加熱の宝石でパープルの部分が加熱されるとブルーになります。
深く濃い色調でオールドネオンの特徴を持った非常に珍しいパライバトルマリンです。
自然銅含有パライバトルマリン(お客様ご所有のコレクション)
こちらも非常に珍しいパライバトルマリンです、通常銅の成分が溶け込んで固体化するトルマリンに
銅の結晶が溶けずにインクルージョンとして内包された美しいパライバトルマリンです。
一定方向にびっしりと銅の結晶インクルージョンが入っており、
ある特定の角度でキラキラときらめく様子はまるで天の川を眺めているかのような 幻想的な魅力を持っておりますね。
ブラジル・バタリャ産 非加熱パライバトルマリン(エイトリータ)銅含有率4.6%の最上級品