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2015.11.04
ガーネットという宝石 vol.2
先日のブログで紹介いたしましたガーネット。
もう少し掘り下げてお話してみたいと思います。
今回は比較的産出量の多いパイラルスパイト系のガーネットに焦点を当ててみます。
アルマンディンガーネット
ガーネットと聞いて皆さんが想像するのはアクセサリーによく使われるこちらのタイプではないでしょうか、
正確にはアルマンディンガーネットと呼ばれ最も産出量が多いためかなり安価に流通しています。
屈折率が高いので輝きは強いのですが、褐色味を帯びたダークな色調が多いため魅力的な石が少ないのが現状です。
この宝石がメジャーであるがゆえにガーネットの価値がいまだに低く思われがちなのが残念なところです。
パイロープガーネット
対して大粒石が少なくクロムによる発色が真紅で非常に美しいガーネットがパイロープガーネットです。
ガーネットは様々な成分が混じりあうため純粋なパイロープガーネットはかなり希産となります。
ロードライトガーネット
そしてこの両者の中間タイプとなるのが「バラの花の色」から名付けられたロードライトガーネットです。
ほんのりパープルピンクの色味を感じるロードライトガーネット、
ジェムクラスのものは他の宝石と比較しても全く遜色ない美しさを持ちます。
スペッサータイトガーネット
マンガンにより鮮やかなオレンジに発色するのがスペッサータイトガーネット。
どちらかというと産出量の少ない宝石ですが、
マンダリンガーネットとも呼ばれビタミンカラーの元気を与えてくれる煌めきに人気の高い宝石です。
カラーチェンジガーネット
マラヤガーネット
カラーチェンジガーネットとマラヤガーネットは主にパイロープとスペッサータイトの間のガーネットですが、
わずかにアルマンディンの成分を含むものも多いため3種混合とも呼ぶべき複雑なガーネットです。
それゆえにパイラルスパイト系では最も希産ですが、カラーチェンジ・カラーシフトといった
極めて個性的な特徴を持つので価格も人気も高い宝石です。
下の写真の石はコレクターの間ではレッドマラヤと呼ばれ人工光で真紅の煌めきを放つ美しい逸品です。
(残念ながら鑑別書の表記はパープル味を帯びるためロードライト表記となります)
簡単に写真付きで紹介してみましたが、ガーネットと一口に言っても様々な種類があり、
固溶体でもあるガーネットは1つとして同じ個体は存在しません。
硬度も屈折率も高く、ダイヤモンドと同じ単屈折で強い煌めきを発するガーネット、
実は色石で単屈折の宝石といえばスピネルとガーネット以外にはほとんど存在しません。
価格上昇の著しいスピネルに対して、ガーネットは今後その価値を見直されるべき宝石ではないでしょうか。
次回はグリーン・イエロー系の希少なウグランダイト系ガーネットをご紹介いたします。